2023年、SNS型の投資詐欺は、年間の被害額が過去最高となり、多くの人が被害に遭いました。SNS上で有名人を装った広告バナーやメッセージを目にした方もいるでしょう。2024年4月には、タイ在住の中国人グループが日本人を騙す組織的詐欺行為で逮捕されています。本記事では、SNS型投資詐欺の手口と流行の背景、さらには対策について解説します。
SNS型投資詐欺とは
SNS型投資詐欺とは、SNSを利用して儲かる副業や仮想通貨への投資を持ちかけ、架空の投資話で指定の口座に入金させる詐欺です。詐欺師はLINEや専用アプリに誘導し、徐々に信頼関係を築いて金銭を騙し取ります。これは、オレオレ詐欺などと同様に**「ソーシャルエンジニアリング」**と呼ばれる詐欺手法の一種です。
主な手口
- SNS広告やDMで接触し、LINEやアプリに誘導。
- 仮想通貨や原油などの投資話を持ちかけ、入金させる。
- 出金手続きや追加の投資を要求し、ある程度の金額に達すると連絡が途絶える。
- 「豚の屠殺詐欺」では、初期段階で一度利益を見せ、さらなる投資を誘導します。
被害の実態
2023年の被害状況
警察庁の発表によると、SNS型投資詐欺とロマンス詐欺を合わせた被害額は455億円に達し、オレオレ詐欺などの特殊詐欺を超えました。2023年の認知件数は3,846件とされています。
被害者の特徴
- 男性:40代~60代が中心で、全体の56%
- 女性:40代~50代が中心
- 初回接触:FacebookとInstagramが主要な連絡ツール
被害事例(2024年)
- 著名人を装った投資詐欺:群馬の女性が4900万円の被害(2024年4月~5月)。
- 会社役員の被害:茨城の役員がFX詐欺で7億円の被害。
- SNS詐欺の最高額:札幌の女性が1億円をだまし取られる。
- 大規模被害:広島県内での被害総額は17億円にのぼる。
なぜSNS型投資詐欺が流行するのか?
- 生成AIと翻訳技術の進化
AIを活用して、実在の人物の音声を合成した広告が作成され、詐欺の信憑性が高まっています。これにより、高齢者を中心に多くの人が騙されています。 - 国際的な犯罪組織の関与
中国やインドの詐欺組織が、日本など非英語圏に攻撃を展開しています。詐欺はメッセージ送信担当、資金洗浄担当など、役割が細分化された高度な組織的手法で行われています。 - 見つかりにくい仕組み
犯罪組織が仮想通貨を利用するため、捜査が難航し、警察が組織の全貌を把握することが困難です。
SNSプラットフォームの責任と対策
Meta(旧Facebook)の対応
2024年4月、ZOZO創業者の前澤友作氏は、Meta社に対して「無許可での名前・肖像の使用は肖像権の侵害だ」として提訴を表明。政府もSNS上の詐欺対策を進めており、広告主の本人確認強化や詐欺広告削除の迅速化を要請しています。
- Metaの対応の不備:Metaは広告審査にAIを使用していますが、詐欺広告の審査は十分に機能していません。2024年4月には、正規の広告アカウントである「ホリエモンAI学校」のアカウントが誤って凍結される事態も発生しました。
SNS型投資詐欺への対策
- 疑わしい投資話には乗らない:向こうからの投資話はすべて詐欺と考えましょう。
- 二要素認証の導入:SNSアカウントの不正アクセスを防ぐために、セキュリティを強化しましょう。
- 家族や周囲への情報共有:詐欺の手口を共有し、被害を未然に防ぎましょう。
まとめ
SNS型の投資詐欺は、生成AIや国際的な犯罪組織の関与により、手口が巧妙化しています。警察や政府も対策を強化していますが、個人レベルでの注意が何よりも重要です。SNSを利用した不審な連絡や広告には、十分な警戒が求められます。
情報リテラシーの向上が、詐欺被害を防ぐ最大の鍵です。