沖縄県が米ワシントンに設立した株式会社でロビー活動

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沖縄県が米ワシントンに設立した株式会社でロビー活動

沖縄県は、米ワシントンD.C.に開設した事務所の運営において、営業実態のない株式会社を設立し、職員を「社長」として就労ビザを取得するし「ロビー活動」を行っていた事が判明しました。


1. 事務所設立の背景

この事務所は、故・翁長雄志知事の主導で2015年4月に開設され、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対を米政府や議会に伝える拠点として機能してきました。23年度までに約5,800人の米政府関係者や議会議員と意見交換を行い、玉城デニー知事の訪米時には案内役も担っています。


2. 株式会社設立の経緯

当初は非課税事業者として「ワシントン事務所」の登録を目指していましたが、米国務省から「政治的活動」と見なされ、登録が認められませんでした。そのため、県は米国弁護士の助言のもと、駐在職員が就労ビザを取得するために株式会社を設立しました。この会社は、沖縄県が全額出資し、「沖縄県ワシントン事務所」の名称で登録されています。


3. 就労ビザ取得と業務の実態

駐在職員は、企業の転勤者向けに発給される「Lビザ」を取得し、申請書類には「社長」などの肩書きを記載しました。業務内容には「国際関係や国際通商を扱う日本の行政機関」と記載し、基地問題には触れずに審査を通過させました。
この会社は、実態としては県職員が公務員として業務を遂行しており、会社は便宜的なものであるとされています。


4. 運営にかかる経費

沖縄県は、事務所の運営費用として年間約1億円を計上しており、その内訳は以下の通りです:

  • コンサル業者への委託料:約7,000万円(事務所家賃、弁護士・会計士費用を含む)
  • 駐在職員の給与:約3,000万円

5. 公務員と会社員の兼職問題

職員が形式上「社長」として勤務することで、公務員と会社員の**「兼職状態」となっている点が問題視されています。地方公務員法では兼職が禁止**されていますが、県側は「営利目的ではないため、兼職にはあたらない」との見解を示しています。しかし、この手法に対して県議会では疑問の声が上がっています。


6. 他自治体の運営形態との比較

沖縄県のように株式会社を設立して職員を派遣する事例は他自治体には見られません。例えば、兵庫県は職員を外郭団体に出向させ、非営利団体で活動させています。また、神戸市や横浜市も非営利の枠組みで活動しており、「県が全額出資する株式会社を設立することには違和感がある」という声も上がっています。


7. 専門家の見解

元内閣府参与で行政学の専門家である北海道大学の宮脇淳名誉教授は、「形式上とはいえ、公務員が営利企業の社長を兼任することは、県民感情から乖離している」と指摘しています。また、「このような仕組みが県民や議会に説明されないまま続けられてきたことは、ガバナンス上の問題である」として、県には説明責任を果たすよう求めています。


8. 結論と今後の対応

沖縄県のこの運営手法は、政治的事情から導入されたとされていますが、透明性説明責任の欠如が指摘されています。県は引き続き議会での議論に対応しながら、必要な改善を進めることが求められています。

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